売掛金の残高確認のあれこれ:債権管理

※ IPO準備及び検討中のご担当に情報提供しています ⇒ IPO準備の準備

売掛金の債権管理の目的

  • とりぱっぐれを無くすためです。これが一番大事。例えば、半年も請求忘れていれば、満額の回収が難しくなります。

  • あと、押し込み販売や架空売り上げといった不正を予防するという目的もあります。

  • また、売上や売掛金の金額を正しいものにすると目的もあります。


毎月、売掛金の請求入金違算管理表を作る

毎月、回収予定の売掛金が満額入金されているか消込を行い、回収予定金額とずれている売掛金については、一覧表にまとめ、そのズレの理由を記載してください。合わせてズレの解消方法を記載してください。

  • 当該管理表は上席者もしくは経営陣の承認が必要です。

  • ズレの解消方法は当月中に記載するようにします。

  • 翌月解消できていないようであれば要注意先として上席者による対応が必要になります。


半年もしくは年末にて、売掛金の残高確認を実施する

売掛金の残高確認とは、貴社の管理部門が、売掛金の残高について、販売先に直接確認をすることです。メールやFAX、はがき、封書にて、当社の売掛金の残高をお知らせし、販売先の認識と合っているか教えてもらう手続です。残高の認識が異なっており違算があれば、その理由と解消方法を検討します。

  • 『売掛金残高確認実施報告』を作成し、上席者もしくは経営陣の承認をうけること必要です。

  • 通常、貴社の営業担当部門ではなく、管理部門が担当し実施します。相手先の購買担当ではなく、財務担当に確認します。これは、互いに営業部門や購買部門に不正がないことも同時に確認するためです。

  • 頻度や残高確認の件数は、売掛金の貸倒リスクや、売上の虚偽リスクに応じて変わります。通常は、年に1度は全件実施するようにします。

  • ただし、業種や管理方法の違いで、売掛金残高確認を行っていない会社もあります。


売掛金残高確認については以下のリンク先も参照!

3-11 販売:売掛金残高確認を実施する


売掛金の年齢表(滞留表)を作成する

売掛金の年齢表とは、未回収の売掛金を発生年月日の古い順から並べたもの表です。

とりっぱぐれを防ぐという債権管理の目的からは、非常に大事な管理表になります。


  • 販売管理システムが年齢表の作成に対応していない場合、作成は困難です。その場合、毎月の請求入金管理表と売掛金の残高確認実施報告を組み合わせて、手作業にて売掛金の滞留状況を確認します。



違算と滞留への対応

違算や滞留の理由は、最後まで検証します。それが組織の健全性を保つために必要なことです。

とはいえ、管理部門や営業部門だけでは権威や実効性を欠き、やりきれないことがあります。

そこで、『売掛金の請求入金違算管理表』『売掛金残高確認実施報告』『売掛金年齢表』を経営陣に定期報告しておく仕組みとすることで、権威を確保することが大事になります。


IPO準備企業であれば、組織人員も限られています。手数を減らすための『ひとまとめ月次報告』の実施も検討ください。

『ひとまとめ月次報告』 2-16 経営管理資料⑦ 一工夫加えてさらに実用度UP(左記をクリックしてください)



監査法人の売掛金残高確認への対応

監査法人は監査手続の一貫として、貴社の売掛金の相手先にサンプルにて残高確認を行います。残高確認を行う相手先や件数、実施時期などは監査法人が決定します。残高確認書は監査法人が直接発送し、直接回収します。監査法人が行う監査手続でも非常に重要な手続きとされています。

  • 貴社の売掛金の残高確認とは別の意味を持ちますが、実施することは同じなので、実施時期が同じであれば、監査法人の発送先に、貴社も発送することはしないようします。監査法人から回収情報をもらいます(販売先に二重に確認しないようにするため)。

  • 残高確認を自社で実施せず、監査法人の実施に依存している会社がありますが、債権管理としては不足と言えます。

  • 違算があればその理由の調査を監査法人に依頼されます。


監査法人の残高確認で貴社の担当者の作業の流れ

サンプル抽出作業

  • 発送先別に名寄せした売掛金明細を監査法人に提示

  • 監査法人担当者がサンプルを抽出し、抽出結果を報告してきます

残高確認書の作成

  • 監査法人から、残高確認書のデータひな型を渡されます。

  • このデータひな型に、抽出先の宛名、住所、勘定科目、金額を貴社のご担当が記載します。

  • この際、住所が誤っていると、正しい住所を調査の上、出し直しになります。二度手間になるので、住所データの更新は事前にやってもらうよう手配しておいた方がいいです。

封筒、切手の準備

  • 封筒は往信用と返信用の二種類あり、監査法人の専用封筒が渡されます

  • 封筒への切手の貼り付けは、貴社に依頼されることが一般的です

  • 封入れは監査法人がやります。用意した残高確認書と切手をはった往信用封筒、返信用封筒を封綴じせずに監査法人担当者に渡します

残高確認書の回収

  • 残高確認書は監査法人に直接届きます

  • 監査法人から、貴社の担当者に残高確認書のコピーがFAXやPDFで送られてきます

  • 上記の残高確認書のコピーがFAXやPDFに基づいて、貴社の担当者に違算調査が求められます

回答違算の監査法人への報告

  • 貴社の残高と残高確認書の残高にズレ(違算)がある場合、監査法人担当者に違算の理由を質問されます

  • 違算が合理的な理由によるものか、理由だけでなく、証票の提示を求められることがあります

  • 証票は売上計上基準によって(出荷票や入金履歴等)

  • 違算が合理的な理由ではない場合、貴社の会計処理の修正が求められることがあります

  • ファイリング、『売掛金残高確認違算調査表』といったように、最初から調査表をつくって、残高確認書コピーや証拠証票と一緒に紙ファイルにつづっておいたほうが作業も監査対応も楽になります。


売掛金残高確認の違算について証拠証票を出して欲しいと監査法人担当者に言われました

売掛金残高確認の違算について証拠証票を出して欲しいと監査法人担当者に言われましたが、具体的には何を見せればいいのでしょう。


要は、当方の売上及び売掛金の計上が間違っていないことを示す関係証票を示すことになります。

  • 当該差異となった売掛金を含む、回収事実、売上事実、受注事実を示す証拠証票を示すことが求められます。

  • なるべく、会社の内部書類ではなく、会社外部者が発行した証票であることが望ましいです。

  • 一つで済むことは少なく、いくつか組み合わせて示さなければいけないことが多いです。



具体的には、下記の証票になります。

回収事実を示す資料

  • 売掛金の入金明細

  • 通帳や当座照合表、銀行からの報告書


売上事実(検収、出荷、相手方受領等)を示す資料

  • 検収書、検収明細

  • 受領書、受領書一覧

  • 出荷指示書、出荷一覧、送り状(運送会社の)


受注事実を示す資料

  • 受注一覧、受注書


当方は、京都を中心に個人で活動している公認会計士です。

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