2-16 経営管理資料⑦ 一工夫加えてさらに実用度UP『月次ひとまとめ報告』

「ウチは人数少ないから、ダブルチェックなんかできないよ。」

と聞くことがあります。

本当でしょうか?

嘘です。


いくらでも工夫次第で

人数が少ないなら、人数が少ないなりの内部統制の組み方ができます。

・自社の経営管理のキーポイントを押さえることから、始めましょう!

・人がいないなら、経営者がダブルチェックやればいいんです!


例えば、月次の経営管理資料に一工夫加えてみるという手を紹介します。

月次管理資料としては、以前以下を紹介しました。

経営管理資料の標準としては、

例えば、

①月次予算実績比較損益計算書【全社要約版】

②月次実績比較貸借対照表【全社要約版】

③当月売上分析表

④当月売上原価、製造原価分析表

⑤販売費及び一般管理費科目別明細表

⑥資金繰り表

⑦資金繰り実績表といったものが標準的に考えられます。


私がサポートに入らせていただいた場合には、以下のモノをまず薦めます。

①貸借対照表、損益計算書【集約】

②比較損益計算書【詳細】

③月次推移損益計算書【詳細】

④月次推移貸借対照表【詳細)

⑤営業活動推移

⑥資金繰り実績表

⑦資金繰り予定表


一工夫するとは、上記の情報に加えて、下記を加えるものです。

・資産管理の情報

・異常値報告、例外報告

具体的には、

・月次預金残高の帳簿と通帳残高の照合結果

・在庫の状況、実地棚卸の結果報告(差異分析含む)

・売掛金の状況、売掛金残高確認の結果報告(差異分析)

・買掛金の状況

・月次での請求違算、入金違算等の違算の状況

・例外報告レポート

を加えるものです。

私はこれを『月次ひとまとめ報告』と言っています。

これらを毎月経営者が見ることになれば、

自然と上記の項目はダブルチェックされたことになります。

経営者自らが経営管理のキーポイントを押さえたことになるのです。


大事なのは、

月次経営管理資料に、会計情報のみならず、業務情報(資産管理、業務管理、異常値報告)を加えておくことで、現場のみで業務を完結させずに、経営者への報告を強制するということです。

逆に言うと、人数が少ないのであれば、経営者もチェック者として活躍すべきだということです。

こまごまとした定常業務のひとつひとつを毎回ダブルチェックするだけが内部統制ではありません。

まずは、キーポイントだけは必ず押さえて置けばいいのです。

管理するのがキーポイントだけだとすれば、作業量は少なくなります。

経営者でも実施可能です。

もし自社でも実施されるのであれば、

キーポイントは、その会社の外部環境、内部環境、業種等によって異なりますので、自社ならではのモノがないか、よく確認しながら作り上げていってください。


ただ、キーポイントだとわかっていても、簡単に取れない情報もあります。

その場合は、キーポイントなんだから、時間がかかってもその情報が取れるように仕組みを整備運用すべきです。

例えば、売掛金の年齢表(未回収状況、滞留状況)なんかがそうですね。

売掛金の未回収状況を明確にするには、売上が正確に計上されて、入金と個別消込がちゃんとできていることが必要になるのですが、これを一対一で実施できていないことがあります。その場合、計上、請求、回収が一対一で対応できるように仕組みを組みなおす必要がありますが、これは短時間でやりきることは難しいです。

じっくりと時間をかけて小さく進化していきましょう。


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