IPO企業における内部統制の不備事例


IPO企業における内部統制の不備事例


IPO企業に見られる内部統制の特性

  • 社長が創業者及び筆頭株主であり社内取締役・監査役のガバナンス(監督)が効いていない

  • 上場により資金調達が済んだので、ベンチャーキャピタルや銀行等の企業外部の利害関係者からの実質的監督機能が効かなくなっている

  • 従業員が少数であることから基本的な職務分掌等の内部統制が構築できていないことが多い

  • 経営者のコンプライアンス意識やコンプライアンスについて知見が弱い


⇒要するに、社長に権限が集中しており、役員陣の監督機能の発揮は期待できないため、新規公開企業の内部統制の有効性は、社長のコンプライアンス意識やガバナンス意識に大きく左右される。



全社的な内部統制の不備の事例

下記の記載は、実際に全社的に内部統制に開示すべき不備があると公表した会社の不備事例です。

1.取締役会の機能不全

  • 取締役会で審議すべき事項が明確に決まっていない

  • 取締役会で審議していない。審議しようにも資料が作らていない

  • 管理部門を担当できる取締役がいない

  • 取締役が自分の担当分野にしか興味がない(他の取締役に対する監督責任を意図的に放棄)

2.役員及び従業員のコンプライアンスの認識の欠如

  • 経営者の業績達成に対する過度のプレッシャー

  • 社内手続を遵守する意識が希薄。社内手続きが決まっていないもしくは更新されていない

  • 会計基準を守る気がない、会計基準を軽視。

3.内部監査の機能不全

  • 内部監査担当者が入社したばかりで、技能を有していない

  • 内部監査担当者が兼務社員1名のみという人員不足の事例

  • 経営者、役員に対して何も言えない

  • 内部通報制度が形骸化している


全社的な内部統制の不備の是正措置の事例

1.コーポレートガバナンスの強化

  • 社外取締役の導入・増員

  • 取締役会上程基準の明確化

  • 取締役会の経営責任の明確化

  • 社外監査役の増員(弁護士、公認会計士)

2.コンプライアンス意識向上施策

  • 全役員、従業員に対する不正防止教育

  • 売上を過度に重視する経営方針の見直し

3.内部通報制度の導入・強化

  • 匿名通報を可能とする

  • 通報者に不利益が生じない仕組みの導入

  • 外部通報窓口の設置(弁護士事務所)

4.内部監査の強化

  •  兼務の解消

  • 実務経験豊富な内部監査室長の配置

5.職務分掌の徹底

  • 職務分掌に関する社内規定の整備

  • 例外的取扱いの防止

  • 特定人員への過大負担の解消

 




当方は、京都を中心に個人で活動している公認会計士です。

個人で活動している会計士は珍しいと思います。

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