9-7 公認会計士がCFOにご説明:会計は一つじゃありません

◆会計は利害関係者が増えれば増えるほど複雑化、高度化します。

同じ株式会社に適用される会計でも、会計基準の適用の仕方が異なります。

いわゆる財務会計は、会社の業績や財産状態を利害関係者に説明することを目的とした会計です。それゆえ、利害関係者が増えれば増えるほど複雑に高度になっていきます。

例えば、起業したての小規模企業であれば、メインの利害関係者は税務署のみ。税務申告を間違えない程度の必要最低限度の会計が行われています(下手すると経営者すらも利用できない会計になっていることありますが)。

その後、順調に会社規模が大きくなり、上場をするとなると、利害関係者は経営者、取引先、金融機関、既存株主以外にも潜在的投資家もふくむことになります。そうなると、利害関係者は日本社会一般とまで言えるので、日本社会一般が受け入れられるような複雑高度な会計が必要になります。

さらに、グローバル企業まで成長すれば、国際会計基準、いわゆるIFRSの適用も考えられるでしょう。


◆複雑化高度化した財務会計を扱える経理マンの絶対数は少ない

まず、複雑化高度化した会計を必要とするような上場会社は規模が大きいとはいえ、数が少ないので、複雑化高度化した会計を扱える経理マンが必要とされる人数も相対的に少ないのです。

次に、上場会社の経理に所属していたとしても、大きな上場会社の経理は分業が進んでいます。複雑化高度化した会計に携わってない経理マンも多いです。逆に、上場会社でも少し小規模な会社の経理責任者は一人でやらなければならないことも多いので、ひととおりは複雑高度化した会計をご存知のことが多いです。


◆利害関係者の増加に合わせて経理機能も変えていく必要があります

会社の規模拡大に従って、利害関係者は増えるので、経理も会社規模拡大に従って変えいていく必要があります。それは、頭数の増加といった単純なものではなく、複雑化高度化していく会計に技術的にも対応しうる人材を確保するということを意味します。


■会計は一つじゃありません

以上のように、同じ株式会社であっても、会計の利用者の数や種類が異なっているので、会計もそれに合わせて一つでは無くなっています。


次に、子会社不正について解説しています

9-8 公認会計士がCFOにご説明:子会社での不正は起こりやすい