9-2 公認会計士がCFOにご説明:減損会計と特別損失

■減損会計は弱り目に祟り目。業績下降局面で追加の損失計上を強いられます。

減損会計が怖いのは、ただでさえ業績が下がっている局面で、さらに追加の特別損失の計上を迫られる点です。

減損会計とは、貴社の所有している事業用の固定資産が、将来十分な儲け(キャッシュ)を生みだす予定が立たないなら、簿価を切りさげて、当期に特別損失を立てなければならないという会計です。


複数の店舗を持って経営していた場合、どうしても不採算の店舗が出てくることがあります。この時、不採算店舗に投資された固定資産(店舗設備等)については、減損損失をたてて簿価の切り下げを行います。

この場合影響は限定的なことが多いと思います。


でも。特定の事業部があるとして、その事業部は赤字決算が続いている。将来の事業計画を作成しても赤字の解消のめども立たないとします。

その場合、その事業部全体が減損会計の対象となります。事業部が使っている固定資産に対して投下された資金は、将来の事業期間で回収できないことになります。固定資産への投下資金のうち回収できないものについては損失とみなされ、固定資産の簿価を切り下げ、特別損失を計上します。

この場合の影響は、大きくなることが多いです。


■業績下降局面での利益計画を説明しなければならない

特定の事業部や、支店、支社、子会社、会社全体。

営業損益が下がってくれば、減損損失の計上についての検討が必要になります。

さらに減損会計の難しいところは、将来どれだけ資金が回収できそうかについては、会社自身で将来計画として説明しなければならない点です。

営業利益が実績と下がっている状況で、将来計画では業績が上がるというシナリオを書くには、相当に合理的な説明が必要になります。

監査法人もおいそれとは、会社の主張を鵜呑みにすることはできません。会社が出してきた事業計画での営業利益やキャッシュフローについて、不確実性があることからディスカウントすることを迫ってくるのが一般的です。


業績の下落局面では、追加の特別損失が発生するかもしれないということは理解しておくべきことでしょう。

会社自身の主観や説明が会計処理に大きな影響を与えるという点で減損会計は難しい会計であると言えます。

次に子会社の業績悪化がある場合に親会社の決算にどのような悪影響があるか説明しています

9-3 公認会計士がCFOにご説明:子会社の業績悪化が親会社に与える影響