9-1 公認会計士がCFOにご説明:税効果、区分が変わると利益が下がる

◆税効果が最終利益に与えるマイナスの影響

財務会計では、業績が下がったときには、本業の下がり以上に、税効果会計により最終利益はさらに下がる可能性があると、知っておいてください。


『税効果会計での会社区分が変わって、税引き後利益が下がるかもしれません。』との説明を受けたことはありませんか。

非常にざっくり説明しますと

  • 税効果会計では、基準上のある検討により、貴社をレベル分けします。これは毎年やります。

  • レベルがあがると、利益にプラスで、レベルが下がるとマイナスです。

業績が安定している会社であれば、税効果が利益に与える影響は小さいので、話題にでることも少ないでしょう。でも、事業や業績に大きな変化が出たときには貴社のレベルが変わりますので、利益にプラスやマイナスの影響が出ます。

特に、レベルが下がると、今まで繰延税金資産という資産科目にプールされていたプラスの影響が認められなくなり、税引き後利益へのマイナスの影響として吐き出されます。結果として、税引き後利益が下がることになります。

(損益計算書上は、法人税等調整額という勘定科目に使われます)


ざっくり、レベルが下がるのはどういう時かと言いますと、

  • 業績が下がったとき

  • 課税所得が下がったとき

税効果会計の怖いところは、業績が下がって、営業利益や経常利益が下がったところに、追い打ちをかけるように、税引き後利益を下げるマイナスファクターが加わり、想定以上に税引き後利益が下がってしまうことです。



◆タックスプランニングの策定が必須になります。

最後に、この会社のレベル分けは、会社自身でやる必要があります。

そのために、必要になるのがタックスプランニングになります。

タックスプランニングとは、自社の将来獲得する利益を見積もり、どの程度の法人税を支払う予定になるのかという将来計画(5か年は必要)です。

多分に見積もりや貴社の主観がはいりますが、主観だから何でもできるというわけではなく、ある意味誰が見てもそうなるよねというロジックを備えた説得力のある説明が必要になります。

貴社の主観と説明により、利益の金額が変わるという点で、税効果会計はとても難しい会計と言えます。




次は、減損会計についてご説明いたします。これも決算時に突然、損失計上を迫られることがあります。

 ⇒ 9-2 CFOにご説明:減損会計と特別損失