IPOを目指すことになった経理担当のための情報源のご紹介

◇経理担当者のための情報源のご紹介

■上場会社特有の財務会計への対応が必要

上場準備を始めると監査法人の会計監査を受け始めます。その時に会計処理は今までの税務申告用の会計では足りず、上場会社特有の財務会計を適用する必要があります。

しかし、上場会社特有の財務会計は一般的にはあまり知られていません。専門性が高く、特別に学んでいくことが必要になります。


そこで、まず、上場会社特有の会計処理を身につけるのに役立つ情報源をご紹介します。


  1. 一般的な財務会計の会計処理が説明されている専門書

監査法人が著者になっているものがいいです。個人的推奨は『会計処理コンパクトガイド』(著:清陽監査法人)清文社。これは経理に1冊は持っていてほしいと思っています。簡単な調べものならここに答えがありますし、少なくとも次にどの会計基準等をしらべればいいかの端緒がつかめます。会計処理がわからないときに最初に開く本と言えます。会計士になってから15年以上愛用しています。


  1. 専門性の高い財務会計の会計処理が説明されているWEBページ

監査法人系のWEBページでの解説であれば、信頼性も高いです。

特に、おすすめなのは、新日本監査法人のWEBページです。会計基準や会計基準適用指針をわかりやすく解説されています。


  1. 専門性の高い財務会計の会計処理が説明されている専門書

各会計基準ごとに解説書が出ています。必要に応じて入手されればいいです。これも監査法人が著者になっているものがいいです。あと、個人的には太田達也氏の著書を愛用しています。

他に、『最新企業会計と法人税申告調整の実務』(編:日本公認会計士協会当協会)日本公認会計士協会出版社 これも経理に1冊持っておいてほしいと思っています。


  1. 会計基準や開示基準が記載されている専門書

『会計監査六法』(編:日本公認会計士協会)日本公認会計士協会出版社

これは絶対に必要です。専門性の高い会計基準等の原文ですので、とっつきづらいですが、ここに記載の基準を守ることが、投資家への財務報告の基本ルールです。毎年版がかわりますので、毎年買うことが必要になります。

ただ、このとっつきづらい会計基準を読むまえに、先ほど紹介した新日本監査法人の会計基準解説のWEBページにあたることをお勧めします。


  1. 会計基準や開示基準が公表されているWEBページ

企業会計基準基準委員会/財務会計基準のWEBページ。上記の『会計監査六法』は1年に1度の発行なので、直近に発行された会計基準等はこのWEBページで入手することができます。

また、公認会計協会/専門情報のWEBページでは、会計基準等の実務指針が記載されています。


  1. 最新の財務会計基準や監査、税務の解説が手に入る専門雑誌

有料年間購読が必要になりますが、『週刊 経営財務』や『旬刊 経理情報』がおすすめです。常に最新情報をキャッチし、早め早めの対応をとれるようにすることが大事です。


  1. 連結会計について

WEBページにはあまり役立つ情報はないと思われます。

連結会計についても、各大手監査法人が厚い専門書を発行していますので、これを入手されておくといいと思います。

もし、連結会計に始めて取り組むようであれば、すっかり版が古くなってしまいましたが、『連結会計入門』(著:広瀬義州)中央経済社 が愛用の1冊です。他の本でもいいですので、上記の厚い専門書の前にもうすこし普通ぐらいの厚さの連結会計の入門書から読まれることをお勧めします。


上記については、私がIPO準備のサポートに入る際に、いつも経理のご担当にご説明する内容です。

IPOを目指すからには、経理でも新たな専門知識や技術を身につけていかなければなりません。

社内の関連部署にも、いろいろな情報提供の依頼をしていかなければならず、そのためには経理のご担当自信が、どのような情報を入手しなければならないのか理解してなければなりません。

そのためには、まず、適切な情報源を知っておく必要があります。

少しでも経理担当のお役に立てればと思います。