法定監査以外の会計監査

監査基準委員会報告書800号(平成26年4月4日)

特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査


◆特別目的の財務諸表に対する監査報告書の提示の例

  • 監督官庁、規制当局が規則で、財務諸表の提出と監査報告書の添付が求められている

  • 銀行、金融機関との取決めで、財務諸表の提出と監査報告書の添付が求められている

  • 融資審査目的での金融機関からの要請で、財務諸表の提出と監査報告書の添付が求められている

  • 匿名組合契約で、匿名組合出資者へ提出される財務報告への監査報告書への添付が求められている


◆特別目的の財務諸表に用いられる会計基準の例

  • 『中小企業の会計に関する基本要領』『中小会計指針』

  • 『金融機関との合意に基づく会計の基準』

  • 『匿名組合契約書の条項に定められた会計の基準』

  • 『規制当局が定める財務報告に関する規則』


◆特別目的の財務報告の枠組み(財務報告の取決め)

1)契約書において定められている財務報告に関する取り決め

  • 銀行借入

  • 組合出資

  • プロジェクトの補助金

2)規程当局が、監督のために設定した財務報告に関する規則等

3)一般に適用されている会計基準を一部省略、もしくは組合せするというような取り決め

  • 会社計算規則に基づき計算書類等を採用+財規に基づきキャッシュフロー計算書を作成



◆特別目的の財務報告とは

特定の利用者のニーズ(利用目的)を充足 する会計基準に準拠して作成された財務諸表⇒ 特別目的の財務諸表

  • 特定の利用者

  • 特定の利用者のニーズ(利用目的)

  • そのための財務情報

  • そのための財務情報を報告するための決め事(作成基準 )⇒特別目的の財務報告の枠組み(監査基準委員会報告書800)


◆特別目的監査の対象は完全な一組の財務諸表

関連する注記を含む完全な一組の財務諸表 ⇒ 完全な一組の財務情報



◆特別目的財務諸表監査の考慮事項

■監査契約の締結

  • 財務諸表の作成目的

  • 想定利用者

  • 適用される財務報告の枠組みが受入可能と判断した経営者の検討内容

■監査の契約と実施

  • 不正リスク対応(監基報200)

  • 特別な考慮

  • 虚偽リスク評価(監基報315)

■監査意見の形成と監査報告書

  • 意見の形成と監査報告(監基報700に従う)

  • 適用される財務報告の枠組みについての記述

  • 注意喚起:特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成

  • 配布または利用制限


◆特別目的の財務諸表の会計監査の監査報告書の文例

監基報800号の付録に監査報告書の文例がついていますのでご参照を

ただし、2019年、2020年は、独立監査人の監査報告書の様式変更が行われている、当該監基報の文例も変更の可能性があります。



監査基準委員会報告書805号(平成26年4月4日)

個別の財務表または財務諸表項目に対する監査


◆個別財務表又は財務諸表項目に対する監査報告書の提示の例

  • 貸借対照表のみを対象とした監査報告書

  • 金融機関に提出用に追加開示されたキャッシュフロー計算書に対する監査報告書

  • 補助金等の収支結果を資金提出者に報告・開示を目的とした資金収支計算書に対する監査報告書

  • 規制当局に提出が求められている部門別収支計算書に対する監査報告書

  • ロイヤリティ契約の契約事項を満たすために、特定の商品に係る売上高計算書に対する監査報告書


◆監査の対象

  • 財務表 ⇒ 完全な一組の財務諸表を構成する、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書等のそれぞれを指す

  • 財務諸表項目等 ⇒ 財務諸表の勘定科目、構成要素、その他の項目を意味する

  • 過去の財務情報


◆個別財務表又は財務諸表項目に対する監査の考慮事項

要するに一般の財務諸表監査と同様に、監査実務指針に従いなさいと言われている。

監査契約の締結時

  • 一般に公正妥当と認められる監査の基準を適用すること(監基報200)

  • 適用される財務報告の枠組み(取決め)が受け入れ可能かどうか判断すること(監基報210)

  • 監査報告書の様式を監査契約段階で示すこと(監基報210)

監査の計画と実施時

  • 監査実務指針に従うこと(監基報200)

  • 経営者確認書も入手

監査意見の形成と監査報告

  • 「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」に従うこと(監基報700)


◆特別目的の財務諸表の会計監査の監査報告書の文例

監基報805号の付録に監査報告書の文例がついていますのでご参照を

ただし、2019年、2020年は、独立監査人の監査報告書の様式変更が行われている、当該監基報の文例も変更の可能性があります。