学校法人の会計・監査の留意事項
◆令和4年度(令和5年3月期)
◇学校法人会計監査の変更点(令和5年3月期)
■会計基準の改正点
特になし。ただし、コロナ関連のものについては前期同様留意
■会計監査の変更点
特になし
◆令和3年度(令和4年3月期)
◇学校法人会計監査の変更点(令和4年3月期)
■会計基準の改正点
特になし。ただし、コロナ関連のものについては前期同様留意
コロナ関連の助成金+雇用調整助成金の会計処理
国または地方公共団体からの助成金 ⇒補助金収入として処理
上記以外の金銭その他の資産の贈与 ⇒寄付金収入として処理
雇用調整助成金 ⇒ 雑収入
■会計監査の変更点
監査報告書の変更点:①押印が無くなった。②「その他の記載内容」(監基本報720条参照)区分の追加。
2022年4月5日「私立学校振興助成法監査及び財務目録監査における「その他の記載内容」の範囲に関する留意事項
理事確認書については、変更なし
◆令和2年度(令和3年3月期)
◇学校法人会計監査の変更点(令和3年3月期)
■会計基準の改正点
なし (ただし、コロナ禍での会計処理についてはいくつかの質疑応答が会計士協会にあったとのこと、いずれも現段階では、個別案件ごとに検討が必要(所轄庁への確認が必要))
継続法人の前提に関する注記は、直接は義務付けられていないが、「その他財政及び経営の状況を正確に判断するために必要な事項」の注記として記載すべき(研究報告第34号)
コロナ関連の助成金+雇用調整助成金の会計処理
国または地方公共団体からの助成金 ⇒補助金収入として処理
上記以外の金銭その他の資産の贈与 ⇒寄付金収入として処理
雇用調整助成金 ⇒ 雑収入
■会計監査の変更点
福祉医療機構への借入金残確の様式変更
前提)福祉医療機構への残高確認書は、会計士協会の用意したひな形を使うこと
入手方法)”福祉医療機構””残高確認”での検索でかかります。2021年3月末用について変更あり
①貸付番号の記載
②返信用封筒、用紙が折らずに収まる角2規格とすること
■子育て支援制度の支援概要の再確認
内閣府の子育て支援事業者向け のWebページを参照する
『子ども・子育て支援新制度ハンドブック平成27年度改訂版(内閣府)』
■残高確認書様式の紹介
学校法人委員会研究報告第25号「確認及び顧問弁護士への質問に関するQ&A」
「自主規制・業務本部審理ニュース[No.4]「独立行政法人福祉医療機構からの借入金の残高確認について」の様式の変更等
監査委員会研究報告第6号「銀行等取引残高確認書及び証券取引残高確認書の様式例」の改正について
ゆうちょ銀行に対して行う確認手続き「自主規制・業務本部審理ニュース[No.3]「ゆうちょ銀行への残高証明書請求について」」を参照すること
日本私立学校振興・共済事業団に対して行う確認手続、同事業団と公認会計協会の申し合わせにより、残高が記載されない回答書が送付される(25号Q3)
■公認会計士協会による規制( 個人事務所での学校法人監査の受嘱)
①報告
監査契約締結時 遅滞なく『監査契約通知書兼報告書』を公認会計士協会へ提出
監査終了時 会計年度終了後4か月以内に『監査実施報告書を』を提出
②品質関規程等
<監査事務所の品質管理関係>
中小事務所等施策調査会研究資料第1号「中小監査事務所向け監査ツール「監査の品質管理規程の例示について」」
中小事務所等施策調査会研究資料第2号「中小監査事務所向け監査ツール「品質管理のシステムの監視に関するガイド」」
<監査計画・審査関係>
学校法人委員会研究報告第19号「学校法人監査における監査計画書及び意見形成時の監査調書の様式例と記載上の留意事項」
第53回中小監査事務所連絡協議会研修資料「学校法人監査における監査調書様式例及び記載例について」
学校法人委員会研究報告第11号「委託審査制度における審査資料の様式例」
中小事務所等施策調査会研究報告第2号「委託審査制度における審査の方法等について」
品質管理基準委員会研究報告第1号「審査を実施しない場合の自己点検チェックリスト」(幼稚園のみを設置している都道府県知事所轄学校法人の私立学校振興助成法に基づく監査の場合のみ)
<独立性関係>
学校法人委員会研究報告第24号「私立学校振興助成法監査における監査人の独立性チェックリスト」
③単独監査(補助者を使用しない監査)は禁止されていない
◆令和1年度(令和2年3月期)
◇学校法人会計監査の変更点(令和2年3月期)
■監査報告書の文言変更あり
記載順序の変更
監事の責任による責任の記述の追加
監査人の責任の項に、監事とのコミュニケーションに関する内容が追加された
学校法人にKAM(監査上の主要な検討事項)は法令にて求められていない
■理事者確認書についても文言変更あり
和暦でも西暦でもOK
継続法人の前提について追加
■監査人と監事の連携の実施が求められている
監査の基準、監基報がその根拠となる
法的な定めはない
連携を実施するには、理事等への説明により理解を求めることが望ましい。
監事とのコミュニケーションの内容は同じく監基報に基づく。監基報では簡略的なコミュニケーションも認められている。
■監査報告書の日付について
監査人と監事の連携に関しては、私立学校法上特段の定めはない。
⇒会計監査人の監査報告書の日付は、決算承認理事会の後でなければなりません。
⇒決算承認理事会や監事監査報告書の日付の後で、最長決算日から3ヶ月以内(6月30日)まで可能となる。
理解のために:会社法監査であれば、会計監査人は監査役への報告責任を会社法で負っている。
⇒監査役との連携は当然必要
⇒会計監査人の監査報告書の日付は監査役の監査報告書より前になる。
■幼児教育・保育の無償化の会計処理
いつもどおり所轄庁への確認が必要です。所轄庁の指示により下記のどちらかになります。
①大科目 「補助金収入」 小科目「施設型給付費収入」
②大科目「学生生徒等納付金収入」 小科目「施設型給付費収入」
※結構、金額的影響大きかった。
■関連当事者との取引の注記
理事による借入金への連帯保証
⇒関連当事者との取引として注記が必要
借入金に対する保証についても取引
関連当事者との取引であっても注記を要しない取引に挙げられていない
⇒金額基準
役員及びその近親者との取引100万円超
その他の関連当事者との取引、事業活動収入の1/100に相当する金額(500万円が上限)
◆平成30年度(平成31年3月期)
学校法人の会計監査の建付け
所轄庁の違い、私学助成の有無で変わる
1)文部科学大臣所轄 私学助成あり ⇒ 私学助成法監査(法定監査)
2)都道府県知事所轄 私学助成あり ⇒ 私学助成法監査(法定監査)
3)都道府県知事所轄 私学助成なし(施設型給付) ⇒ 新制度の監査(任意監査)
※一定の要件を満たせば免除申請できるが、実際に免除申請を出しているところは少ないとのこと
会計監査の変更点(平成31年3月期)
大きな変更なし
・監査報告書 変更なし(実務指針36号 or 研究報告32号)
※ 学校法人監査報告書では、KAMの記載は必要とされていない
※監査報告書の文言については改正作業実施中
変更された点
・残高確認書の様式が改正されている(平成31年2月28日付)
→会計士協会HPの業務支援のページ(会員のみ)
会計基準の改正点(平成31年3月期)
大きな変更なし
・新会計基準に変更なし
留意点
・第4号基本金 ←知事所轄は去年まで経過措置、今年は経過措置は無い(完全適用)
第4号基本金の趣旨:1か月分の運転資本金想定額を確保する。
・固定資産の有姿除却 ← 学校法人会計には固定資産の減損会計は無い
①固定資産の使用が困難 ②処分ができない場合 ③理事会及び評議委員会の承認
上記3要件を満たせば、有姿除却の会計処理を適用できる。
◆以前
◇計算書類等と会計監査の範囲 ~知事所轄学校法人~
・各所轄庁の告示によって規定されています。
・私が会計監査で関わっている京都府と兵庫県についてまとめています。
◇おまけ:学校法人会計のややこしいところ
資金収支計算書における「資金収支調整勘定」
・資金収支計算書が、現預金収支に基づいて会計処理を行うといいいながら、一部発生主義的な資金収支の調整勘定が存在している。根本の理論と整合しないので、この点は戸惑う方が多いです。
例)
期末未収入金 前期末未収入金収入
前期末前受金 前受金収入
期末未払金 前期末未払金支払支出
前期末前払金 前払金支払支出