IPOを実現するのに、外部のサポートは必要か?

◆上場準備で見られる『3つの見積り誤り』

上場準備会社では、経理部や管理部の担当の方が異常に心身疲労している姿を見ることがよくあります。

上場審査をクリアするためには、社内の管理体制を上場会社レベルに引き上げることが必要ですし、とくに経理では、監査法人の監査をクリアするだけの高度な経理体制を作り上げることが必要になります。その主役となるのは管理系の部門。

上場審査基準をクリアするように、監査法人の監査をクリアするように、会社組織や業務処理手順全体、自部門の仕事のやり方を変えていかなければならないのですから、今ある業務のついでにできる程度のものではなく、負担が増えるのは当たり前ではあります。

しかし、よくその負担増が適切な範囲を越えてしまうことがあります。

限界を超えた担当者は心身疲弊してしまい、肝心の上場準備作業がとん挫してしまいます。


なぜ、そうなるのか、当然様々な要因がありますが、大きな要因として『3つの見積り誤り』があると考えられます。

以下、解説していきます

① 工数×技術レベルの見積り誤り

■守らなければいけない基準が格段に増え、監督の目が厳しくなる

利害関係者が一気に大幅に増えることにより、守るべき開示基準が大幅に増えます。同時に社内の管理体制・経営の仕組み対しての監督の目が格段に厳しくなる。まずはそのことを理解することが必要です。

■技術レベル不足

また、技術レベル不足ということも見落とされがちです。高い技術レベルをクリアし続けられる技能をもった人材は希少です。自社内にそのような人材がいるのか、育成はできるのか、冷静な見極めが必要です。通常そのような人材は社内にいないので上場準備期間に採用が行われます。

② ルーチン化作業の時間×難易度の見積り誤り

■ルーチン化作業の工数は想像以上に多く、支援が必要

新しい管理体制や、仕組み、会計基準や開示基準への対応を検討します。今までやったことないことですから、①ルールの決定、②作業内容や手順の決定、③実行スケジュールの決定の一つ一つを、社内調整、文章化しながら実施しなければなりません。当然、決めっぱなし、やりっぱなしではなく、今後も実施し続けられるように安定した仕組みにしなければなりません。新しいことを決定し、さらにルーチン化する仕組みを構築することは、日常業務のついででできる程、甘くありません。

ルーチン化の作業に対しての負担を適切に見積って、支援をしなければ、当然、経理部や管理部の担当の方の負担は耐えきれないほど過大になってしまいます。


■ルールの決定が大変

ルールを決定するためには、まず、①社内の現状について理解が必要です。また、②会計基準や開示基準といった基準に従わなければなりませんから、基準自体の理解が必要です。さらに、③基準をどう適用すれば、上場審査基準や会計監査をクリアするか見極めなければなりません。加えて、④運用可能なルールを決めなければなりません。

担当者に相当の技術力が必要となりますが、一人ではやりきれないので、専門家のサポートが必要になります。

■従業員が慣れるための時間がかかる

新しいことへの取り組みですから、ルーチン作業の整備ができたとしても、従業員全体が慣れて安定運用されるまでは、時間がかかります。

■ルーチン作業も定期的に見直しが必要

外部環境、社内の状況、基準の変更等により、ルーチン作業であっても、ずっと何も変えなくてもいいわけでは無く、少しづつ変えてく必要が出ます。その際は、ルールの決定からの見直しが必要になります。

③ 外部コンサルのサポート範囲の見積り誤り

■結局最後には、全部自分たちでできないといけない

上場準備の際には、外部の専門家からのサポートを受けますが、そのサポートは上場後も続くわけではありませんので、結局、最後は自社ですべてやれるようになってないといけません。

また、外部者から受けられるサポートは限定的であり、社内管理体制の構築、開示情報の作成等は自分たちで判断し、決定していく必要があります。

一部代行を依頼したとしても、自分たちでできるようになるための工数負担は大きなものとなります。また、外部の専門家に依頼できず、自分たちだけでやらなければならない範囲も結構広く、この工数も見誤らないことが大事です。

■「担当者の心身疲弊は、担当者自身の責任だ」では済みません。

  • そもそも上場プロジェクトは、経営者が十分に関与しなければ破綻します。

  • 経営者を中心として全社的に実施しなければならないプロジェクトです。コーポレートストーリーや将来の事業像、組織の形や経営の仕方、経営者がにしか決定できないことが多くあります。

◆作業量と技術力の両面からのサポートが不可欠

  • 上場申請書類の作成や規程の作成など、とにかく量が多い作業があります。一人でこなせるものではなく、分担し作業のサポートしてくれる者が不可欠です。

  • 上場後に会計監査を受けます。会計監査をクリアできるだけの財務会計のレベル、内部統制のレベルを備えることが必要になりますが、それだけのレベルをクリアできる知識と経験を備えている人材は稀であり、技術サポートが必要になります。

IPOを実現させるためには、監査法人の監査、証券取引所・証券会社の審査をクリアするための社内管理体制整備、上場申請書類の作成には、膨大な作業量と高度な技術力の両面に対するサポートを上手く使うことが必要になるといえます。

当方では、公認会計によるIPO準備会社へのサポートを提供しています。ご興味がありましたら、下記ページご参照ください。

IPO準備の準備のご提案