5-16 ファシリテーション: グランドルールの事例
グランドルールの事例
ストーリでわかるファシリテーター入門 森時彦著 より抜粋ですが、グランドルールには同じようなものが多く、下記のような項目になることが多いそうです。
1)否定しない(よく聴く)
2)全員参加(必ず話す)
3)楽しく(笑う)
4)忖度しない(遠慮しない、言うべきことを言う)
5)ほかの人のアイデアに乗っかる
6)プラス思考(未来志向)
7)「難しい」「できない」と言わない
ここに、グランドルールとは、話安い状況や、発言しても安心安全な場を作るために、会議や話合いの最初に皆で決める話合いの場で守るべきルールです。参加者がお互いにこのルールを守ることが建設的な話合いをする上での大事なポイントとなります。
負のグランドルール
負のグランドルール。これは今私が作った造語ですが、上記のグランドルールが建設的で、皆の納得を重要視する話合いのルールであるなら、負のグランドルールはその逆。排他的で皆の納得は必要ない話合いのルール、とても建設的にはならない話合いのルールです。
例えば、
1)否定する(話を最後まで聞かない)(下手すれは人格否定)
2)特定の人だけ発言する
3)笑うな
4)忖度こそが大事
5)責任が発生するので人のアイデアには何もいわない
6)原因思考(犯人捜し、スケープゴート探し)
7)「それは難しいですね」しか回答しない
まあ、これはこれで意味があるんでしょうが、もし自分がこんな会議の参加者になったとしたら、とてもいたたまれないですね。
グランドルールを実践した話合いへの参加経験が大事
実際にグランドルールが明示された話合いに参加された経験のある方は少ないのではないでしょうか。まあ、ファシリテータとまでは言わなくても司会がしっかりしている会議への参加経験もあまりないのかもしれません。
私もそうでした。基本的にミーティングは伝達や進捗確認、指示、研修は知識のインプットが中心でした。参加者の意見を吸い上げ新しいものを創発するという話合いのスタイルはとったことがありませんでした。つまり何かを建設するという話合いはしたことが無かったんです。
私個人の話ですが、私はこの点の不足を補うために、ファシリテ―ション協会に入会して、定例に勉強会に参加しました。ここでは、当日初めてあった人ともグループを組み、話合いをし、作り出した結論を発表します。その話合いは、ファシリテーターのガイドを受けて行われます。その際、毎回最初にグランドルールが明確にされます。グランドルールを含めたファシリテーターのガイドによって、安心して私も発言をすることができました。
ここで、グランドルールには、確かに効果があるという実感を持ちました。この実感によって、私がミーティングを仕切る場合にグランドルールを明確に示すことを実践する勇気を持ちました。
以前の私と同じで、ファシリテーターやグランドルールに慣れておられない方も多いので、実際のミーティングでは、グランドルールは、最初に明確に文章で見えるようにはせず、発言に織り交ぜて、明示的暗示的に示すことが多いです。
例えば、「最初に本日のミーティングは建設的に進めたいので、他の方の発言を否定するのは控えて、いったん受け入れてください」「ちょっともう少し○○さんのお話し私は聞いてみたいですけどいいですか?」「左周りの順番で皆さんの意見、感想聞かせてください」「確かに難しいですね。あえて、できる方法とかアドバイスをひねり出したら何かありませんか?」といった発言で、負のグランドルールが適用されないようにガイドしていきます。
グランドルールの考え方、あり方が大事
グランドルールには
①人の話は聞く価値がある(違う考え方にこそ価値がある)
②参加者は建設的な結論を導き出す能力を持っている
という考え方が根本にあると思っており、
この考え方をもったファシリテ―ションを実践したいと思っています。