4-01 資金:資金流用や横領を仕組で防ぐ

換金性の高い、高価な資産のことを危険資産と言います。

危険資産は、横流しや横領の可能性が高いため、厳重な管理を必要とします。


例えば、あなたの会社がメーカーで、金やプラチナを扱っているとします。

そうすると、金やプラチナは厳重な金庫や倉庫にしまわれて、アクセスできる者も少数に限られます。出し入れの際は決して一人には任されず、二人以上でダブルチェックで行われるでしょう。出し入れや残の記録は厳格に取られ、定期的に実地棚卸が行われることにもなります。

金やプラチナの価値を考えると当然のことですよね。


対して、普通預金は厳重に管理されていますか?

入出金の際はダブルチェックされて、定期的に実地棚卸が行われていますか?


実務経験上、普通預金の管理が、一人の経理部長に任せっぱなしになっていることは、決して珍しいことではありません。

「あいつには長い間任せているから大丈夫」と言う経営者がおられます。

「中小企業では、人数が少ないから、ダブルチェックなんてできない。」と経理部長もおっしゃられたりします。

でも、今やデータ化されている普通預金は、金やプラチナといった貴金属よりもよっぽど取り扱いしやすく、横領の危険性が高い資産です。

それなのに、長い間任せているから大丈夫とか、人数が少ないからダブルチェックができないというのは、普通預金の資産管理のリスク評価を過少に見誤っているのではないでしょうか。

普通預金のリスク評価が適切にできたなら、経理部ではダブルチェックすべきですし、経理部だけでダブルチェックしきれないなら、経営者を使ってでもダブルチェックすべきです。

実際、ある会社では、月次で社長に残高照合と確認印を押していただくことを実行していただいています。

普通預金はあまりにもありふれて、毎日取り扱う資産であるため、その管理を軽視されることがありますが、現金に次いで2番目に危険な資産です。

経理部長も経営者もそのリスク認識をあらためるところから始めてください。

人として信用できることは大事ですが、そこでとどまらず、資金横領を防止する仕組みをつくることも合わせて大事です。