3-15 購買:検収あげないことも大事

検収は支払承認

一般に、検収をあげるということは、発注した通りのサービスや品物を受け取ったことを認め、その対価として支払することを了解することです。

注文もしていないものを渡されて、お金を払うことは無いですよね?

たまにありますって、例えばレストランで注文したものと違うものが来たときなんか。それは、人がいい話ですが、その品違いはあなたの期待の許容範囲であったということですね。

会社の場合、必要なもの以外、ムダな発注はしないのですから、特別な事情がない限り、品違いや数量違いの納品は許容できないはずです。

真っ当な会社では、本当に厳密に検収が行われています。

特にメーカーが原材料を仕入れる場合、その後の製品の出来にかかわってくるので、発注どおりの型番、数量かを確認し、その品質まで抜き取り検査もしくは全数検査が行われます。

ものづくりのプライドはこんなところから始まっており、工場の荷受場は整然と整理整頓されています。


検収を行ったという記録は次の部門の作業開始のトリガー

業種にかかわらず、たくさんの仕入取引がおこなわれていると、どうしても品違いや数量違い、品質不足が起きてきます。これは、人のやることですので、ゼロにはならないようです。

では、品違い、数量違い、品質不足の納品の場合、どうすればいいのでしょうか?

・検収を担当した人が個別に判断すればいい

・発注者と検収担当が相談して個別に判断すればいい

と、確かにこれらも正しいのですが、少し足りないと思います。

これだと、現場の裁量で「いったん検収しておくから、すぐに正しい品物持ってきて」ということが行なわれたりすることがあります。

すぐ正しい品物がくるのであれば、別に支障がないから、いいじゃないかとも思えるのですが…

実際には、すぐに正しい品物がこなくて、予定していた製品製造ができなかったり、しなくてもいい支払いが先行したりします。

検収を行なったという記録(検収情報)は、社内で共有されます。

その品が原材料や部品であれば製造部門は製造に取り掛かり始めます。必要な部品が実は無かったとなれば製造課長さんが怒ります。

財務部門では、支払の準備を始めます。正当な理由なく支払を行なったとなると財務部長さんが怒ります。


品違い、数量違い、品質不足の納品の場合

社内をいたずらに混乱させないためにも、

検収したという事実がないかぎり、検収したという記録を作ってはいけません。

では、品違い、数量違い、品質不足の納品の場合、どうした方がいいのでしょう?

・受け取らない、検収あげないが原則

そうすれば、モノの動きと記録の動きが一致し、裁量による社内の混乱が起こりにくくなります。

それに、これが仕入先にとっても、自分の会社にとっても一番真っ当です。

仕入先でも実は渡してもいない品物の支払いを受け取ってしまっても困るのですから。