2-09 月次連結会計導入への壁を越える
連結して初めてグループの実力を把握できる
連結会計というと、一般の会社では導入の敷居が高そうとのことで敬遠されがちです。
確かに、一定の知識と、連結作業に必要な情報を集めるのには工数がかかります。
しかし、連結会計は企業グループの状態を知るためには必須のもので、本来欠かせないものです。
連結会計ができていなければ、企業グループの状況はどんぶりでしかわからないということになります。
また、企業グループ内の取引を適切に把握できていないので、儲かっているように見えた子会社は、単に親会社が得るべき利益を移転していたに過ぎないなんてこともありえます。ひどくなると、親会社では売上していた商品が子会社で不良在庫に変わっていただけということになっていたりします。
グループを俯瞰して見ている経営者はいるか?
健全な企業グループ経営を実施するのに、連結会計は不可欠と考えられます。
にもかかわらず連結会計があまり実践されていないのはなぜでしょうか?
私は連結会計導入への壁としては、以下のものがあると考えています。
①親会社経理、子会社経理に連結を実施できる人材がいない
②親子間や子会社間の内部取引を区分把握できていない
③連結会計の実施に手間がかかりすぎると思われている
④そもそも経営陣からのリクエストがない
①②③は、スキルや仕組の問題であり、その気になれば解決可能です。
外部のコンサルタントでもいれて、一回連結作業の仕組みを作れば、その先は定常業務として実行可能です。そんなに高い壁ではないです。むしろ、債権債務管理や会社間の情報伝達や調整の能力が向上するというメリットは大きいです(上場準備会社にて指導させていただいた経験からすると、経理担当されている方でしたら、2回程度、連結会計のサポートをさせていただければ、もうひとりできるようになられます。1年かかりません)。
実際、月次で連結会計を実施している会社は多くあります。
しかし、④の経営陣からのリクエストがないというのは、難物です。
これは、単なる会計の手間の問題ではなく、ガバナンスの欠陥です。
言い換えると、企業グループ全体を俯瞰して見ている経営陣がいないことを意味します。
個々の各社を見ておけば、企業グループとして見れているとのご主張もありますが、
相互に独立性の高い別事業をやっている会社ばかりではないでしょうし、グループ会社間で売上や仕入はなくとも、借入や貸付といったお金のやり取りはあることは十分考えられます。
互いに影響し合っている会社がある企業グループにおいて、企業グループ全体のかじ取りをするためには、企業グループ全体の実態を示す情報が必要であり、その代表である連結会計による情報が不可欠といえます。
多少時間はかかるかもしれませんが、技術的には難しいことではありません。
企業グループの経営者は、遠慮せずに、経理部に月次実績連結をリクエストされることおすすめします。