2-25 経営管理資料⑧ そもそも決算書を従業員に公開できますか?


経営管理資料について書いてきましたが、

非上場の中小企業の経営者のお話しを聞いていると、

そもそも、経営管理を導入するときに一番大きな壁になるのは、

『従業員に自社の決算書を公開するかどうか?』

でした。


公開されていない理由としては、

・ 公開の必要性を感じなかった。

・ 従業員は会社の会計情報には興味を持っていない

・ 公開することで誤解や無用の問題が起こるかもしれない

・ どう説明したらいいか考えるのが面倒

・ 決算書は年1回、税理士さんが持ってくるだけであまり見てない。

といったことがあります。


私は二つの観点から、決算は公開すべきだと考えています。

1つは、経営管理の観点から。

そもそも、会計情報という数字を使った冷静な情報がなければ、

現状を正しく理解する方法や、目標設定や、成果測定をする方法が著しく制限されます。

経営管理を実施するうえで、決算や会計情報の公表は基本のキになります。

もう一つは、経営者と従業員の信頼関係を作る観点から。

なにも、個人の給与金額を公表しろと言っているわけではありません。

大事なのは、会社全体の状況の認識を共有することです。

自分が勤めている会社が儲かっているか、儲かっていないか知らされていないということは、

会社にとって重要な存在ではないと言っていることと変わりません。

会社に信頼されていると感じていない人が、会社や経営者に対して本気で役に立ちたいとは思わないでしょう。

最初は一人から数人だった会社が大きくなるにつれ人数も増えていきます。

組織が大きくなってくれば、経営者も成長しなければいけないし、経営者と従業員の関係も変わっていきます。

人の顔が見えなくなり、組織管理の手法も導入しなければやっていけなくなります。

そんな時にカナメとなるのが、会社全体の状況を数字で冷静に示す会計情報です。

決算書や会計情報を経営者、経営幹部、従業員を皆で共有することで、

すくなくとも皆が会社の状況について共通認識を持ったところから始められます。

例えば、業績が下降しているときに、経営者だけが危機感をもって従業員とすれ違うのではなく、経営者も従業員も同じ危機感を共有できるようになるということです。

『従業員に自社の決算書を公開するかどうか?』

そう考えるのではなく、

『いかに決算書の公開を実践するか?』

と考えてみてもいいのではないでしょうか。

もちろん、皆が会計情報を読めるわけでは無いので、会計情報の共有の仕方や、利用の仕方には効果のあるやり方と効果の出ないやり方があります。

それはまた別の機会に書きたいと思います。



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