2-24 財務:『日本型金融排除』 担保や保証は不要になる?

金融行政の方針の転換があります。大きな流れは掴んでおいてください。

不良債権処理優先から、中小企業支援へ

リスクの排除から、多少のリスクテイク+地域振興へ

金融検査マニュアルから、地銀ベンチマークへ

信用格付けから、ローカルベンチマークへ

日本の景気が良くならないのは、中小企業に元気がないことも大きな原因の一つ。

では、なぜ中小企業が元気になっていかないのか?

投資資金も自らまかなえそうな返済リスクのほぼない会社にばかりお金を回そうとし、

活発な投資意欲はあるが多少の返済リスクのある会社にお金が回っていないのではないか?

銀行が担保評価重視で事業性を評価しないので、信用格付けが5~6の中小企業にお金を貸していないことが原因ではないのか?

という金融庁の仮説が『日本型金融排除』ということです。

信用格付け5~6の会社であっても、伸びそうな会社には、銀行はもっとお金を貸すべきだ。

だから、担保にではなく、事業にお金を貸すべきだ。

というように、読み替えられます。

私は、金融行政や銀行事業の良し悪しについては意見をもっていません。

ただ、対応しなければならないものとして捉えているだけです。

銀行事業は行政の規制を強く受けており、金融庁の方針変更の影響をものすごく強く受けます。

そのような状況の下、今回の行政方針の変更は、

中小企業にどのような影響があり、どのように対応することが考えられるでしょうか?

銀行が企業を評価する場合、

従来、CRDシステムを使っての信用格付に基づいて、企業を分類してました。

これは、過去情報である財務情報を8割以上重視した方法です。

これからは、ローカルベンチマークに基づいて、企業を評価します。

これは、財務情報+非財務情報により評価を行おうとするものであり、将来の事業性の評価を深めようとする方法です。

違いは財務情報偏重から、財務情報+非財務情報(事業等)に変わったところです。

「これにより、これからは、銀行は中小企業の事業の将来性を正しく評価し、その事業性に応じて貸付を行うようになります。」

ということは、考えられるでしょうか?

考えにくいですよね。

事業性評価という方針は始まったばかりです。

CRDシステムも信用格付けも無くなったわけではありません。

銀行側だけでなく、企業側でも、

将来の事業性を明確に説得力のある形で説明できる会社もどれくらいあるでしょうか。

すぐに事業性評価に全面的に切り替わることは考えにくいです。

だからと言って、何も対応しなくてもいいというわけにはなりません。

今後、企業側としては、担保や保証を求められることは減るかもしれない。

もしかしたら、今の借入についている担保を外したり、借入を増額しやすくなるかもしれません。

一方で、自社の将来の事業性について明確に説得力のある形で説明できるようになることが求められると考えられます。

と推定できるなら、

担保や保証を外す交渉ができないか探ってみる。

事業計画に基づいた経営管理体制を整備する。

といった対応が考えられます。

銀行からお金を借りれない理由が、担保評価の不足ではなく、

経営管理力の不足や事業計画の説明がうまくできなかったことだったという時代が来るかもしれないということです。

今後に備え、

会計力を高め、経営管理力や事業計画策定能力を高めておいたり、

はたまた、銀行以外に資金調達先はないか検討してみたり。

やれることはたくさんありますね。

信用格付けについてはこちらを参照ください。