2-21 財務:シェアードサービス と グループファイナンス
シェアードサービスとは
シェアードサービスとは、企業グループにおいて特定機能を一つの会社に集約することを言います。
例えば、経理機能を集約したシェアードサービス会社は、企業グループ各社の経理を一手に引き受け、各社の決算書、税務申告書等のすべて作成します。
アウトソージングと異なるのは、あくまで企業グループ内で行われており、外注ではなく、内製されている点です。
一言にシェアードサービスと言っても
①経理、財務、人事、総務等の間接部門や共通業務の重複を避けて、コスト削減を図ったもの
②上記間接部門の集約を図り、企業グループの作業効率性や意思決定の迅速化を図るもの
③上記間接部門の他、戦略部門も集約を行い、企業グループとしての資源の再配分、意思決定
等の戦略実行力を高めることを図るもの
④本社グループの効率化をはかるために、余剰人員をグループ外に出すことを目的としたもの
に分かれます。
つまり、
①業務の重複のムダを省きコスト削減
②業務プロセスの共通化を進めスピードアップ
③戦略機能を強化し、企業グループ全体の競争力を高める
④従業員、役員の受け皿会社とするため保険や庶務機能を別会社とする
に分かれます。
どれが一番いいというものはなく
シェアードサービスを導入する際の、企業グループもしくは経営陣の構想次第だと言えます。
グループファイナンスとシェアードサービスの相性
ここで、グループファイナンスと相性がいいのは①~④のどれでしょうか?
②と③ですね。
②の場合は、最初からグループ会社の全子会社の業務を効率化する必要はなく、1社、1社順番に取り込んでいけばいいのですから、企業グループの中に無用な混乱を起こしません。時間がかかってもグループファイナンスの実現可能性が高くなります。
(②の場合、親子会社間のように上下関係に基づく強制力が働かないので、無用な反発をうけることがない点もメリットであると言えます)
③の場合は、戦略的意思決定までやるくらいですから、グループファイナンスくらいのことは当然に構想に入っています。
ちなみに、①と④では、誰もグループ全体のことを考えようとはしないので、グループファイナンスの導入は難しいでしょう。
子会社が複数社ある場合や、事業部制、カンパニー制を導入している場合、
各組織の自律的行動は高まりますが、企業グループ全体での行動がとりにくくなります。
このデメリットを減らし
各組織の自律性と企業グループの共通行動をバランス良くとるのに
シェアードサービス会社の導入は向いていると言えます。
ちなみに、経理関係の情報や意思決定情報が集約されるので、シェアードサービスが導入されている会社(②及び③)の会計監査はやりやすいです。
このことは、同時に、ガバナンスの機能が高いことも意味しています。
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