2-17 付加価値を生む経理部
「①儲かっているか ②資金は残せているか 」会計の本質はこの二つをわからせることです。まずはこの理解が大事です。
経理部の付加価値の本質は、会計情報の提供を通じて多様な利用者の役に立つこと。
会計情報の利用者には、社内の経営者や経営陣、各従業員や、社外の銀行やファンド、投資家等がいます。税理士や税務署だけではありません。
どうしても経理技術が未熟なうちは税務申告・納税をしっかりとすることだけで精一杯になり、会計情報についても税理士さんのOKをもらえれば、それでいいとなりがちです。それはそれで間違っていません。税理士さんも税務署も会社の会計情報の利用者ですので、その方の役に立つことも必要です。
ただ、この段階でとどまっていると、①税務署にしか役に立っていない。②多少のキャッシュアウトが減るだけで効果も限定的。になります。そのため、付加価値も限定的にならざるを得ません。
特に、社内の経営判断や、業務の判断に役立つ会計情報を作成することが重要
経営判断や、業務の判断に役立つ会計情報を提供すれば、間接的と受け取られるかもしれませんが、経理部は業績向上に役立つことができるのです。当然、貢献範囲も広がり、さらに付加価値を上げることができます。
では、どうすれば経営判断に役立つ会計情報を提供できるのか?
①経営判断に役立つ会計情報を提供することまでが仕事であると決めること
これが一番大事です。当たり前のことを言っているように聞こえると思いますが、経理部員は皆、このゴールに向かっての行動をとっているでしょうか。出納や、毎月同じ業務を繰り返すことをゴールとしていませんか、行動を見れば自ずとわかると思います。
②利用者に対してリクエストを聴きに行っている。フィードバックをもらっている。
経営判断に役立つ会計情報を提供するなら、どのような情報が役に立つのか、少なかったり、多すぎたり、わかりにくくなっていないか確認することが必要です。リクエストの確認やフィードバックが取れるようになってくると、会計情報が陳腐化することを防ぐことができ、付加価値を維持することができるでしょう。
③利用者の置かれている環境の変化に気づいて、こちらから情報提供の提案を行っている。
積極的に付加価値の向上を狙うなら、リクエストの確認だけでは足りません。なぜなら利用する側も、どん情報が欲しいのか、自分でも完全には理解していないからです。付加価値の向上を目指すなら、経理部の方から、積極的に提案をしていく必要があります。試行錯誤を伴うので、失敗することもあります。また、提案するための技術力や能力、現場の理解も必要になります。
付加価値を生む会計情報の4要件
付加価値を生む経理になるためには、会計情報の利用者に使いやすく信頼できる情報をいかに提供していくかを考えていくことが必要と言いました。そんな付加価値を生む会計情報には一定の要件を備えます。この要件を備える会計情報を作成し、提供しようとすれば自ずと付加価値を生む経理となります。
付加価値を生む会計情報の4要件は以下となります。
①信頼性:嘘が無い、実態を表す。
②適時性:利用者にとってタイミングがいい。
③明瞭性:利用者にとってわかりやすい。
④準拠性:会計は社会共通の尺度。一般的なルールを守る必要もある。
付加価値を生む会計情報の要件のうち、会計や税務の専門知識が必要となるのは④だけです。大半は外部の専門家に頼れる部分は少なく自社の中で地道に実現していくしかないものです。要所要所で外部の専門家を利用できれば効率性はあがりますが、結局、大半の部分は自社内で行うことになります。
付加価値を生む経理部になるためには
利用者に役立つことがゴールだと意識すること
リクエストを聞くこと、提案することにチャレンジ
税理士や会計士といった専門家が利用できるところはほんの一部と知る
では、ないでしょうか。
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