2-13 経営管理資料④ 作り方 フェーズ3
『経営管理資料』は”会社の舵を取るための要となる道具”です。
『経営管理資料』の作り方ですが、組織規模の大きさ、事業の複雑性、経営幹部の経営習熟度により適切なものが変化していきます(フェーズが変わります)。
フェーズ1から3まで、
フェーズ1.月次決算の導入
フェーズ2.標準経営管理資料の導入
を説明しました。
今回はフェーズ3を説明します。
フェーズ3.オリジナル経営管理資料の導入
オリジナル経営管理資料では、全社的な会計情報及び資金情報だけではなく、
事業別や部門別の情報も記載され、
加えて、営業状況や、債権回収状況、在庫の状況といった業務系の情報が直接記載されます。
また、フェーズ1やフェーズ2と比べて情報の適時性は高くされます。
⑴業務系の情報の追加
具体的には、決算情報に加えて、
・売掛金回収状況、違算状況
・買掛金の違算状況
・在庫の滞留状況
・異常事態や例外自体についての報告
といった情報が付加されます。
・しかも、素早く
これは、より現場における異常事態を適時に共有することにより、早期対応を実現するために行われます。
⑵責任別会計の導入
また、会計情報についても、全社ベースに整合を保ちながら、事業別、部門別に細分化されます。
これは、各部長や課長レベルにまで、経営の責任を意識させるという効果を狙って行われます。
つまり、フェーズ3では、『経営管理資料』は下記の目的を持つようになります。
①会計情報のみならず、業務系の情報にまで踏み込んで、異常点への早期対応を促すことに重点が移行。
②細分化した情報管理で、経営者からの権限移譲に合わせて各自に責任を負担させる責任会計を実現。
フェーズ1から3まで説明しましたが、
たとえ『経営管理資料』がフェーズ1でとどまっていたとしても、それ自体は何ら問題のあることではありません。経営者の選択の問題です。
ただ、組織の規模が大きくなるにしたがって、フェーズが進んでいくのが自然な形であると考えています。
組織規模が大きくなるにしたがって、現場への権限移譲の必要性は高まっていきます。
権限移譲したなら、それを任せっぱなしにしないで監督することも必要になってきます。
監督するには権限移譲の状況に合わせた報告の方法が必要になります。
組織規模が大きくなってきているにもかかわらず、権限移譲が進んでなかったり、監督する方法が無かったりすると、それは経営に相当のひずみや歪みを生んでいます。
こんなことが感じられないでしょうか?
・経営者が抱え込みすぎてて後手を踏んでいる
・経営幹部や従業員が自律的に行動していない気がする
・逆に、経営幹部や従業員がバラバラに勝手に行動している
・現場で起こった問題が、経営者には報告されない
人は、細かく指図、管理されるのは嫌がりますが、放置されたり無視されたりすることはもっと嫌がります。
自社の状況に合わせた『経営管理資料』を作成し、
細かく指示しなくても、自律的に行動し適度に報告するように仕向けることも大事です。