1-06 内部監査:企業の不正を内部統制だけではゼロにはできない
内部統制は不正防止の抑止力にすぎない
自動車メーカーの不正の問題がニュースになっています。
このメーカーは以前も不正の問題でニュースになっていた会社です。
こんなニュースを聞くと
このような企業内の不正は、内部統制で防げるのか?経営者はどうすべきか?
ということが気になります。
ここから先は、本当に私見です。誤解や間違いはご容赦ください。
チェックやルール、仕組みといったことだけでは防げないと思います。
チェックされていることは抑止力になるので、不正の発生を減らすことはできますが、
決定的な要素ではないと思っています。
不正を防ぐものは何か?
じゃあ、何が不正を防ぐのか?
①個人の考え方や価値観 と ②組織の考え方と価値観 の両方だと思います。
どちらか片方ではありません。
一番影響力があるのは個人に考え方や価値観です。
だからといって、不正を個人の問題と片付けてしまうのは性急だと思います。
なぜなら、個人は組織の一員です。人は群れる動物です。
群れのルールは強い拘束力を持ちます。
だから、組織の考え方や価値観(以下、「社風」)は当然に重要です。
経営者はどうするべきか?
経営者だといっても、個人の考え方や価値観を直接支配することはできません。
でも、会社の「社風」には直接働きかけできます。
だから、経営者が「売り手よし、買い手よし、世間よし」や「公明正大な経営を行う」に見られるように、不正の発生を忌み嫌う社風を作り上げることが必要だと思います。
経験上、仕組やルールを明文化していなくても、日本の多くの会社では、不正は発生していません。その理由は、個人が不正を嫌うとともに、「社風」を形作る経営者の多くも不正を嫌っているからだと思います。
仕組やルール、社風を作る
まずは、仕組やルールの順守といったハード面の施策と不正を嫌う社風を作り上げる。
経営者の日ごろの態度や価値観が大きく影響します。
これにより不正の発生が抑止されます。
不正の発見の仕組みも設ける
次に、矛盾するかもしれませんが、不正の発生はゼロにはならないと認識し、不正が小さいうちに発見するよう仕組を設けることが必要です。
個々人の考え方や価値観が大きく影響を与える以上、不正の発生を完全にコントロールすることはできません。であるなら、抑止以外に早期発見の仕組みを設けておくことが実際的だと言えます。
代表的なものと言えば、内部通報制度や外部通報制度、定期的な人事面談や内部監査人によるヒアリングなどがあげられます。また、数字の異常な動き、実際との矛盾も大きな端緒になります。いずれも、運用するのは結構難しいことです(外部の専門家を利用するのも手です)
企業不正は、内部統制で防げるのか?
私は、「防ぎきることはできないかもしれないけど、問題を大きくしないように、内部統制で対応していくしかないでしょう。」
と考えてます。